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忙しく頑張っている経営者・フリーランスを応援する高崎市の「ひとり税理士」人見潤のブログです。

インボイス制度(美容業編)

こんにちは。高崎市のひとり税理士人見です。

怒涛の暑い8月も終わりまして、急に寒くなってきて人恋しくなる今日この頃ですが、9月もコロナに負けず何とか頑張っていきましょう!!

 

さて、消費税のインボイス制度の書類提出開始がそろそろ始まりますが、いまだによくわからないと思っている美容関係の経営者さんがいらっしゃったら是非読んでいってください。

 

特集 インボイス制度

 

①請求する側の立場で考えるインボイス制度

美容業の皆様のお客様(売上を請求する先)はほとんどの方が消費者(事業者以外)だと思います。

美容院・理容院エステサロン・ネイルサロンであれば、今回のインボイス制度は、相手が消費者であれば①について悩む必要はまったくありません。

何故かというと消費者は消費税の申告書を提出しないからです。

現在、免税事業者であっても課税事業者であってもそのままで大丈夫です。

よって、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出する必要はまずありません。

美容業やその他消費者相手の業種の場合、小規模経営の消費税免税事業者が仕方なく課税事業者になる必要はほとんどないということですね。

 

②請求される側の立場で考えるインボイス制度(免税事業者又は課税事業者で簡易課税制度を採用している場合)

①は自身がお金を請求する側でしたが、②は自身がお金を請求される側の立場になります。美容業を営む上での原価の支払いやその他経費の支払いです。

さて、美容業を経営されている方で従業員4~5人規模位のサロンは多いのではないでしょうか。(ひとり美容師や従業員1人位の小規模経営をされていて、今までも今後も消費税を支払う予定のない免税事業者の方は②も考える必要はありません。)

その規模であれば年間の売上が1,000万円以下であることはまずないと思いますので、課税事業者として今まで消費税を支払ってきたものと思います。

ここで、消費税の計算方法を原則課税を採用しているか、簡易課税を採用しているかで考え方が大きく変わります。

もしどちらかわからない方は、消費税の申告書を確認してみてください。

右上に「簡」とあれば簡易課税制度です。

おそらくですが、従業員と委託契約などせず、雇用契約のみの美容院は、従業員の給与が仕入税額控除できないため、簡易課税制度を採用していることが多いはずです。

簡易課税制度を採用されている場合、②についても考える必要はありません。

何故かというと支払った消費税額を集計せず、売上の消費税額の50%を支払った消費税額と考えて計算するので、相手先にインボイスを請求する必要がないためです。

 

③請求される側の立場で考えるインボイス制度(課税事業者で原則課税を採用している場合)

③の場合が一番問題です。

原則課税の場合、売上の消費税額から支払いの消費税額を差し引いて計算するため、相手先にインボイスを請求する必要があります。

支払先が適格請求書発行事業者でなければ、仕入税額控除できなくなります。

しかし、現在の各々の仕入先に令和5年10月以降、適格請求書発行事業者であるか確認するのはナンセンスです。

今後、国税庁で検索システムが作成されるそうなのでそちらで確認しましょう。

もう一つ、美容業で原則課税を採用している場合、従業員と委託契約されている場合が多いでしょう。いわゆる、面貸サロンです。

何故かというと委託契約で支払う場合、給与ではなく、外注費などの扱いとなり消費税の仕入税額控除が可能だからです。

では委託契約している従業員にも他の支払先同様、インボイスを請求する必要があります。

インボイスを請求するということは、委託契約の従業員に適格請求書発行事業者になってもらい課税事業者になってもらわなければいけません。

 

ここが美容業のインボイス制度で一番の肝となります。

以下、肝に対する私の考えです。

イ.事業主側が、委託従業員の為に、簡易課税制度を採用する

このケースは難しいでしょう。

もし採用する場合は委託契約ではなく、雇用契約をして給与として支払うことになりますが、今までの消費税額よりも増額する可能性は高いです。

事業主側がどうしても手放したくないスタッフであれば考えてみてもいいかもしれませんね。

 

ロ.委託従業員側に課税事業者になってもらい報酬を話し合う

委託従業員側は所得税に消費税の支払いも加わり、不安になるでしょう。

条件が悪いのであればお互いに契約を結ばない場合もあります。

お互いが納得できる報酬で話し合いの場を持つのが一番でしょう。

例えば月額報酬35万円の場合、簡易課税制度であれば委託従業員は年間21万円の消費税負担となります。(委託従業員のほとんどは簡易課税制度が有利となります。)

月額17,500円報酬が減る計算です。

そのあたりを考慮して、報酬額を増やす交渉をしてみてください。

 

ハ.委託従業員側は免税事業者のままで報酬から消費税分は支払わない

委託従業員側が免税事業者であれば、事業主側は委託費用分の消費税を仕入税額控除できません。

事業主側はその分消費税の納税額が増えます。

そのあたりを考慮して、報酬額を減らす交渉をしてみてください。

 

④まとめ

美容業の事業主の方は、ほとんどの場合適格請求書発行事業者の登録申請書を提出する必要はありません。

しかし、支払い側の立場になったとき、消費税の課税事業者で原則課税を採用している場合は支払先(委託従業員含む)が適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しているか否か調べる必要があります。

特に委託従業員の場合は、他の支払先とは違いどんな契約条件にするかなど十分な話し合いの場を持つことが必要です。

ケースバイケースもあります。

私でよろしければお気軽にご相談ください。

 

あっとΣ( ̄□ ̄|||)長文になってしまいました。

この辺で終了です。

次回はフリーランス編です。

ところでインボイスの制度より、インボイスインボイス制度のイントネーションの違いに納得いかないのは私だけでしょうか。(´;ω;`)ウッ…前橋と前橋市みたい・・・。

 

もっとインボイスについて詳しく知りたい、人見に相談してみたい方は以下HPまでお気軽にお問い合わせください。ゆっくり無料相談行っております。お待ちしてます。