Make Haste Slowly

忙しく頑張っている経営者・フリーランスを応援する高崎市の「ひとり税理士」人見潤のブログです。

ふるさと納税って節税?

こんにちは。高崎市のひとり税理士人見です。

 

10月になって少しずつ秋の気配が感じられるようになりましたが、まだまだ暑いですねι(´Д`υ)アツィー

 

今日は久々に少しの雨に打たれながらのジョギングとなりましたが、金木犀のにおいが心地よくとても気持ちよく走れました。

 

さて、確定申告をされている方やサラリーマンの方も10月くらいになるとふるさと納税しなければと思ったりする時期です。

 

私も何度か利用したことはありますが、各地方の特産品が届いてプチ贅沢を味わえてついつい財布のひもが緩くなりがち・・・(;´・ω・)

 

でもちょっとまってください。ふるさと納税って本当に節税なんでしょうか?

 

結論から言うと節税ではなく税金の前払いです。

 

ではまずふるさと納税の税金控除の仕組みから見ていきましょう。

 

例えば10,000円のふるさと納税をしたとしましょう。

 

10,000円から自己負担分の2,000円を差し引いた8,000円が確定申告上の寄付金控除として計上されます。

 

この自己負担分2,000円というのは他の市区町村などにふるさと納税をしてもその都度自己負担するのではなく、何度ふるさと納税しても2,000円です。

 

さて寄付金控除の8,000円が所得税から控除されれば簡単な話ですが、そうではありません。

 

寄附金控除8,000円に自身の所得税率を掛けた金額が所得税から控除されます。

 

例えば所得税率が20%であれば8,000円×20%=1,600円が所得税から控除されます。

 

【算式】所得税控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税

 

じゃあ8,000円から1,600円を引いた残りの6,400円は(・・?

 

残りは住民税から控除されます。

 

住民税からの控除には基本分と特例分があります。

 

【基本分算式】(ふるさと納税額-2,000円)×10%

【特例分算式】(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税率)※住民税所得割額の2割が限度

 

まず基本分で住民税の税率10%が控除されて、特例分で所得税と住民税の基本分を差し引いた残額が控除されるという仕組みです。

 

例にあてはめると、基本分は(10,000円-2,000円)×10%=800円。特例分は(10,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)=5,600円。合計6,400円が住民税から控除されます。

 

これでふるさと納税10,000円により所得税から1,600円、住民税から6,400円の合計8,000円が控除されることになります。(/・ω・)/

 

ちなみにふるさと納税の上限額は以前ブログに書いてみたので参考にしてみてください。ふるさと納税の限度額 - Make Haste Slowly (hatenablog.com)

 

さあこれで10,000円払って美味しい特産品ももらえたし、税金も8,000円分安くなるしラッキー(*ノωノ)ってほんとに税金が安くなるの?

 

例えば令和4年中に10,000円ふるさと納税した場合、所得税は翌年の令和5年3月~4月に納付します。住民税は翌年の令和5年6月以降に納付します。

 

この支払う時期の違いがポイントです。

 

元々令和4年の住民税額が100,000円だった場合、令和5年6月以降に支払う令和4年分の住民税額100,000円からふるさと納税による住民税控除分6,400円を控除した93,600円の納税となるわけです。

 

所得税も同じです。

 

そうすると令和4年中に8,000円先に税金を支払っているに過ぎないというわけです。

 

よってふるさと納税をしてもしなくても住民税額100,000円という事実は変わらないのですね。

 

とはいえ、同等の返礼品が貰えるしどうせ収める税金なら先に払って損はないから高額でも限度額ぎりぎりまで全部つぎ込んでもいいのでは(・・?

 

高額所得者がふるさと納税をやり過ぎるとデメリットもあります。

 

①返礼品を受け取ることによる増税

返礼品はタダで物を貰っていることになるので厳密に言うと一時所得です。ではいくら以上ふるさと納税をすると一時所得が課税されるかというと、一時所得の特別控除額50万円を30%の返礼品割合で割り返した1,666,666円以上のふるさと納税をすると一時所得が課税される可能性がでてきます。もちろん他に一時所得がある場合はその金額も足しますので、160万円より抑えなければなりません。しかし、私の経験から160万ものふるさと納税をされる方は高額所得者の方でも見たことがありませんのでほとんどの方は大丈夫かと思います。

 

②資金繰りが悪くなる

ふるさと納税はあくまで節税ではなく、税金の前払いです。資金繰りが悪化する程にふるさと納税をしては本末転倒です。

 

③税理士費用が高くなる

常識的な範囲のふるさと納税であれば問題ありませんが、例えば100万円以上のふるさと納税をした場合、寄付金の控除証明書の枚数も相当な枚数となります。税理士事務所側でオプション料金がかかるケースも考えられますので注意が必要です。

 

④返礼品で得をすることは難しい

残念ながら返礼品は寄附金額と同等のものではありません。返礼品の返戻割合は寄付額の3割を超えてはならないと決められています。10,000円ふるさと納税をしても10,000円分の商品が届くわけではないんです。3割が返戻割合と考え、自己負担分2,000円も考えれば、ふるさと納税7,000円以上(厳密には6,667円以上)しなければ損する計算になります。7,000円×30%=2,100円が2,000円の自己負担分を超えるからですね。返礼品に特化して考えてしまうと中々得することは難しいのかなと思います。

 

おそらくこのふるさと納税制度、近いうちにメスが入るのではと考えています。

 

ふるさと納税自治体同士で競争が過熱すればするほど、自治体の間で財政格差が広がる問題は当然にありましたが、先日愛知県某市で税理士に対するキックバック作戦なるニュースを見て唖然としました。

 

私は本来は税金の前払いではなく、節税で個人事業主の税金を減らすのが理想と考えます。

 

よって本当に以前から欲しかったものや、よほどの特産品である場合にこのふるさと納税を利用しています。

 

でも、やっぱり年末には美味しいものを食べたいなんて思うのでついつい余分なものまで手がね( ;∀;)

 

節税と税金の前払い、皆さんがうまく活用できることを願っています。

 

それでは。

 

よろしければホームページへも(゚∀゚)

群馬県高崎市の若い40代税理士 - 人見潤税理士事務所 (jimdofree.com)